仮想通貨の今後の動きや仮想通貨市場の普及はどうなる?

仮想通貨市場

2018/08/08

ここ数年で市場規模や流通量、種類などが急速な拡大を遂げた「仮想通貨」。特に2017年は「仮想通貨元年」とも称され、年末には多くの仮想通貨の法定通貨換算価格が一気に高騰し、過去最高額を更新しました。それに伴ってメディアからの注目度も高まり、連日のようにテレビやインターネットなどでその動向が報道されるようになりました。ではこの仮想通貨は今後どのような動きを見せるのでしょうか。このコラムでは仮想通貨の定義やこれまでの歴史を振り返り、そこから読み取れる仮想通貨の今後の動きについて解説します。

仮想通貨とは

日本国内における仮想通貨の定義

仮想通貨は、物理的な実態を持たないデジタル通貨の一種です。日本国内では「資金決済に関する法律」の第二条第5項で、以下のように定義されています。

この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

つまり、「日本円や米ドルのような法定通貨や電子マネーではないけれども、物を買ったり、サービスを受ける際の支払いに使えたり、通貨そのものの売り買いもできるデジタル通貨」ということになります。この記述は2016年6月に公布された「資金決済に関する法律」の最新の改正に盛り込まれた内容で、その他の法律などでは仮想通貨についての記述はありません。このことからも仮想通貨そのものが、まだまだ歴史としてとても新しいものだということがわかります。

一気に増えた仮想通貨の種類

仮想通貨の誕生は、2008年11月にサトシ・ナカモトと名乗る人物が暗号技術に関するメーリングリストに投稿したことから始まります。この投稿の内容が世界ではじめての仮想通貨であるビットコイン(bitcoin)の基本設計でした。そして2009年1月に、サトシからソフトウェア開発者のハル・フィニーに初めてビットコイン(bitcoin)が送信され、システムとしてのビットコイン(bitcoin)がスタートしたのです。その後、分散型アプリケーションを作成するプラットフォームとしてスタートしたイーサリアム(Ethereum)プロジェクトのトークンであるイーサ、世界各国の銀行が主に海外送金のプラットフォームとして採用を表明しているリップル(Ripple)社のXRPなど、続々と新たな通貨が誕生しました。現在(2018年6月現在)では、世界で1,500種類を超える仮想通貨が存在していると言われています。

仮想通貨の現在

仮想通貨はどのくらい普及しているのか

仮想通貨はどのくらい普及しているのか

今なお新たな種類が生まれ続けている仮想通貨ですが、一体どのくらい普及しているのでしょうか。ドイツの企業であるダリア・リサーチがアメリカ、イギリス、ドイツ、ブラジル、日本、韓国、中国、インドのインターネット利用者を対象に実施した調査の結果(2018年5月発表)によると、回答者の約75%が仮想通貨について「聞いたことがある」と回答し、「仮想通貨がどんなものなのか分かっている」と回答した人も50%にのぼりました。しかし、実際に仮想通貨を保有している人は全体の7%と、まだまだ「広く普及している」と言うには程遠い結果となりました。調査対象となった8カ国は仮想通貨の市場が比較的大きな国ばかりですから、全世界に平均するとこれらの割合は更に低くなります。一方、日本国内の市場について株式会社R25が2018年4月に行った調査では、25歳〜30歳の男性という少し限られた対象者ではあるものの、14%が「仮想通貨を保有している」と解答したと発表されています。先述したダリア・リサーチの調査結果でも、日本は仮想通貨の保有率が8カ国の中で唯一10%を超える11%と発表されています。日本は今「世界で最も仮想通貨の保有率が高い国」なのかもしれないのです。

人気のある仮想通貨

では、1,500種類以上あると言われている仮想通貨の中で一体どの通貨に人気が集まっているのでしょうか。現在(2018年6月現在)、仮想通貨の種類別時価総額を比較していくと、1位はやはり元祖仮想通貨のビットコイン(bitcoin)、続いて先程もご紹介したイーサリアム(Ethereum)プロジェクトのイーサが2位に、そしてリップル(Ripple)社のXRPが3位に続いています。4位以降はビットコインから分裂(ハードフォーク)して誕生したビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)、分散型のアプリケーションを作ることに特化されているイオス(EOS)、ビットコイン(bitcoin)をベースにして作られたライトコイン(Litecoin)、XRPを元に開発されたステラ(Stellar)、IoTに最適化した決済システムとして開発されたアイオータ(IOTA)、デジタルコンテンツのプラットフォームとして開発されたトロン(TRON)などが上位10位までに名を連ねています。世界では大きな時価総額の通貨でも、日本の取引所では扱っていない通貨が多数あることが分かります。

なぜ今仮想通貨が注目されているのか

代表的な例として、国内・海外の大手銀行が海外送金のプラットフォームにリップル(Ripple)社の技術を採用することを表明しています。これは仮想通貨に、移動や決済の処理速度が法定通貨を使ったシステムに比べて格段に早いという特徴があるためです。また仮想通貨は国境を超えても共通の通貨を使用するため、外国為替という障壁も乗り越えることができます。個人単位での海外送金などはそれほど大きな恩恵を受けることはないかもしれませんが、グローバルにビジネスを展開する企業や、そうした企業の資金移動や決済を行う金融機関にとっては、非常に大きな恩恵を受けることが出来ると目されており、そのために仮想通貨やブロックチェーン技術についての研究が様々な国や企業で進められているのです。

仮想通貨が誕生してからこれまでの動き

ビットコイン(bitcoin)がスタートした2009年1月以降、仮想通貨はどのように現在の市場規模まで普及してきたのでしょうか。その第一歩は2009年10月、ビットコイン(bitcoin)と法定通貨が初めて交換されたことに始まります。この時の価格は、5,050BTC=5.02ドルで、1BTCあたり0.099セント、日本円では約0.09 円と紹介されています。そして翌年2010年の5月には、現実世界でビットコイン(bitcoin)がはじめて使用されます。ラスロ・ハニエッツというプログラマーが、ピザ2枚を10,000BTCで購入しました。このビザ2枚が約25ドルだったということですから、この時のビットコイン(bitcoin)の価格は1BTCあたり0.25セント、日本円では約0.2円で取引されたということになります。そして同年10月に世界最初のビットコイン取引所であるマウントゴックスが営業を開始すると、それまでごく一部の人にしか触れる機会のなかったビットコイン(bitcoin)はより多くの人が触れられる存在になります。その後はビットコイン(bitcoin)を決済手段として採用する事業者も少しずつ現れ、実用性の面でも需要が高まったことから取引量も増えました。そしてビットコイン(bitcoin)が一定の地位を得た2013年にはイーサリアム(Ethereum)プロジェクトが発表され、そしてXRPも流通が始まるなど、ビットコイン(bitcoin)以外の仮想通貨(アルトコイン)の普及が始まっていったのです。

ここまでを見ると、仮想通貨はとても順調に普及し、その市場規模を拡大してきたように見えますが、決してそうではありませんでした。仮想通貨には取引所やウォレットがハッキングを受けるというリスクがあり、度々このハッキングによる大きな事件が起きています。記憶に新しいところでは、2018年1月にネム(NEM)という仮想通貨が国内の取引所から大量に盗み出されるという事件がありました。同じような事件が2014年にも起こっています。いわゆる「マウントゴックス事件」です。世界初のビットコイン(bitcoin)取引所で、また当時は世界最大のビットコイン(bitcoin)取引所だったマウントゴックスから、約75万BTCと約28億円の預り金が消失したという事件です。マウントゴックスは当時13万人弱の顧客を抱えていましたが、その顧客の大半は外国人で、日本人は1,000名ほどだったと言われています。しかし、事件当時でもビットコイン(bitcoin)の価格は1BTCあたり6万円ほどでしたから、被害総額は約480億円にものぼったことや、マウントゴックスが日本国内の企業だったため、メディア各社もこの事件を大きく取り上げ、それによって「仮想通貨は危険だ」、「怪しい」というイメージを持った人は少なくありませんでした。こうした事件が起きないよう、各取引所はセキュリティの向上により一層力を入れるようになり、Zaifでは2015年3月に国内取引所で初めて二段階認証を取り入れるという対策が行われました。

2013年にはビットコイン(bitcoin)の価格が1BTCあたり10万円を超えるなど、価格の上昇に勢いがあった仮想通貨ですが、マウントゴックス事件や各国での規制が始まったことなどに起因して、その勢いは少し衰えます。しかし、2015年、2016年も確実にその市場規模は大きくなっていき、2017年に1月には、ビットコイン(bitcoin)が2013年以来の最高値を更新。そして、5月以降はその価格上昇が一気に進み、11月末にはビットコイン(bitcoin)の価格が1BTCあたり100万円を突破、12月には1BTCあたり200万円を超えるまでになりました。このタイミングではビットコイン(bitcoin)だけでもその時価総額が30兆円を超える規模に成長したのです。

仮想通貨市場の今後は?これまでの動向から読み取れること

これまでの動向から読み取れること

市場規模を拡大してきた仮想通貨ですが、では今後その市場はどのようになっていくのでしょうか。先述したドイツの企業が発表した調査結果では、現在日本人で仮想通貨を保有している人の割合は11%だとされています。裏を返せばこれから仮想通貨を保有する可能性がある人が90%近くいるということになるので、市場の「伸びしろ」という点では、とても大きな可能性を持っていると言えます。そして、それだけ僅かな人しか仮想通貨を保有していないにもかかわらず、一時はビットコイン(bitcoin)だけでも時価総額が30兆円を超えるまでになったので、今後仮想通貨を保有する人の割合が増えていけば、その市場規模がより大きくなることは容易に予想できます。また、ここ最近は仮想通貨での支払いを受け付ける事業者がインターネット関連のサービスをはじめとして増えており、中には自社で独自の仮想通貨を決済手段として発行する構想を発表する企業もあります。投資目的での保有が多いという印象のある仮想通貨ですが、今後決済手段として利用できるシーンが増え、実用面での利用価値が高まれば、法定通貨などから一部の役割を引き受けるようになることも予想されます。そうなれば個人だけではなく、企業も仮想通貨を保有・利用する割合が高くなることが考えられる為、仮想通貨の価格も高くなり、それに比例して時価総額や市場規模も拡大していくと予想できます。一方でマウントゴックス事件のような出来事が起きてしまうと、仮想通貨そのものへの不信感が高まり、一時的に価格や市場規模が縮小するということも考えられます。しかし、取引所やウォレットを開発している企業は、ハッキング被害が起こらないような仮想通貨市場を作るべく、様々な対策や努力を続けています。

まとめ

ここまで仮想通貨の歴史を振り返り、そして今後どうなっていくのかについてご説明をしました。仮想通貨は誕生してからまだ10年ほどしか歴史がありませんが、その10年でとても大きな変化を遂げてきました。今後もどんな変化を見せていくのかがとても楽しみです。